チタン加工の基礎知識
チタンについて
弊社はチタン加工を得意としていますが、そのチタンについて簡単に解説します。
チタンという名称は、タイタン(巨人)から採ったとされ、人類が作り出す多くの製品にとって文字通り強大なカになっています。
チタンはその3大特徴である強い、軽い、さびないを活かした産業用、軍需用、民生用製品の飛躍的な機能性能の向上に貢献すると共に新しい機能製品を数多く生み出している。本格的に活用されはじめたのは戦後なので、まだまだ発展の可能性が大であり、また地殻中の埋蔵量はレアメタルとは言え、比較的豊富とされているのも頼もしいものです。
チタンの用途
チタン及びチタン合金の主な応用分野は次のとおりで、幅広くつかわれています。
*航空・宇宙(ロケット、エンジン)
*化学プラント(電極、反応槽、熱交換器)
*自動車、オートバイ(エンジン部品、超電動モーター、スプリング、マフラー)
生体適合性を活かしたもの
*医療(インプラント)
低ヤング率と高強度や軽さを活かしたもの
*民生品(メガネフレーム、ゴルフドライバー、ラケット、アイゼン、ピッケル)
チタン及びチタン合金の種類
チタンは、耗チタンとチタン合金に分けられます。
純チタンは、純といっても0、N、C、Fe、Hなどの不純物を微量に含み、その量により耐食性、強度、加工性等が異なり、JISでは純チタンをJISl種からJIS4種まで、4種類に分類されています。なかでも、JIS2種が前述の特性のバランスが良く、最もよく使用されています。
チタン合金は、チタンの機械的性質を改善するため、さらに積極的に他の合金元素を添加したもので、その種類と量により室温における合金を構成する相が変わり、α相状態を使うα合金、β相状態を使うβ合金、α相とβ相の両方が存在する状態で使うα-β合金があり、いろいろな特徴のあるものができています。高温での強度を増したもの、溶接性を良くしたもの、加工性を良くしたもの、静的強度を良くしたもの、熱処理性を高めたもの、ヤング率、密度を変えたもの等があります。
ちなみに、Ti-6AL-4Vは、1954年に実用化されたチタン合金ですが、機械的性質、熱処理性、溶接性等がバランスよく、最も多く使用され、チタン合金の70%をしめています。
代表的なチタン及びチタン合金の性質を表1の通りです。
チタンの切削加工性について
チタン、特にチタン合金は、その強度が高くかつ、熱伝導率が低いため、刃工具の持ちが極端に悪く、低ヤング率のため加工中にビビリが発生し加工精度が悪くなります。
弊社では、長年の切削技術の積み重ねと加工技術者の挑戦意欲により、弊社の加工標準である、『基準以上の加工スピード(生産性)で、24時間無人連続加工』を成功させています。
表1.代表的なチタン及びチタン合金の性質
組成 | 熱処理 | 引張性質 | ||
---|---|---|---|---|
引張強さ | 耐力 | 伸び | ||
(MPa) | (MPa) | (%) | ||
純チタン | ||||
JIS 1種 | A | 270~410 | ≧165 | ≧27 |
JIS 2種 | A | 340~510 | ≧215 | ≧23 |
JIS 3種 | A | 480~620 | ≧345 | ≧18 |
JIS 4種 | A | 550~750 | ≧485 | ≧15 |
α合金 | ||||
Ti-5 A1-2.5 Sn | A | 862 | 804 | 16 |
αリッチ α-β合金 | ||||
Ti-8 A1-1 Mo-1 V | A | 1000 | 951 | 15 |
Ti-6 A1-2 Sn-4 Zr-2 Mo | A | 980 | 892 | 15 |
α-β合金 | ||||
Ti-3 A1-2.5 V | A | 686 | 588 | 20 |
Ti-6 A1-4 V | A | 980 | 921 | 14 |
STA | 1170 | 1100 | 10 | |
Ti-6 A1-6 V-2 Sn | A | 1060 | 990 | 14 |
STA | 1270 | 1170 | 10 | |
Ti-6 A1-2 Sn-4 Zr-6 Mo | STA | 1270 | 1180 | 10 |
Ti-10 V-2 Fe-3 A1 | STA | 1270 | 1200 | 10 |
β合金 | ||||
Ti-13 V-11 Cr-3 A1 | STA | 1220 | 1170 | 8 |
Ti-3 A1-8 V-6 Cr-4 Mo-4 Zr | STA | 1440 | 1370 | 7 |
Ti-11.5 Mo-6 Zr-4.5 Sn | STA | 1380 | 1310 | 11 |
Ti-15 Mo-5 Zr-3 A1 | STA | 1470 | 1450 | 13 |
Ti-15 V-3 Cr-3 A1-3 Sn | STA | 1230 | 1110 | 10 |
A:焼きなまし / STA:溶体化時効
参考文献: 鈴木俊之 森口康夫 著 :チタンのおはなし 改訂版2007.4. 19 日本規格協会