NC自動旋盤加工品を、高精度に安定して量産加工するための取り組み
KOBEでは、100台近くのNC自動旋盤加工機やセンターレス研磨機を使って、自動車や産業機械向けの加工品を供給しています。
そんな中、新規にお取引となった方、品質監査で来社された方は、口を揃えて、
「これだけ機械が回っているのに、誰もいないですよね」
と仰って頂きます。
裏返せば、これは自動盤を使って大量の加工品を、安定して生産が出来ているからと言えるのではないかと考えています。
そこで今回は、もちろん自動盤に関する加工・管理ノウハウをすべて公開する訳ではありませんが、なぜKOBEがNC自動旋盤加工品を高精度かつ安定して供給することができるのか、その秘密を少しお伝えしたいと思います。
1. ガイドブッシュの調整・管理ノウハウ
ワークを支える機構として、通常のNC旋盤・複合旋盤は正面チャックと背面チャックがありますが、これに加えて自動旋盤はその間にガイドブッシュを使い、ワークを支えるような構造になっています。
実はこのガイドブッシュの調整、具体的にはクリアランスの設定が加工品の精度を左右します。
例えばこれがゆるいと真円度が出ない等の不具合が発生するのですが、KOBEはこれの調整・管理手法を確立することで、高精度・安定生産を可能としています。
2. 適切な工程設計
NC自動旋盤加工の加工順序が適切であれば、安定した精度を実現できます。逆に加工順序が不適切な場合は精度はおろか形状を保つことも困難になります。
例えば穴あけから行わず外径から行う、穴加工を行ってからバニシング加工などを行う、このように適切でない加工手順は穴がつぶれてしまうなどの問題が発生します(もちろん、加工手順に加えて、どんな刃物を使って加工するかも重要になります)。
KOBEはこれまで品質に厳しいお客様に育てて頂いたお陰で、精度管理が難しい加工品においても適切な工程設計を行うノウハウを蓄積しています。
もちろん日々精進している所ですが、これまでのノウハウを活かした工程設計を行うことで、日々の工程設計に加え、夜勤でも安心して任せられる工程の作り込みを行っていることも、大量生産品でも安定供給ができる秘訣です。
3. 連続切削加工に適した機械
KOBEは、加工・管理ノウハウに加え、連続加工ができる最新のNC自動旋盤加工機を導入していることも安定生産の秘訣です。
NC自動旋盤加工機は回転するワークに刃物を当てて切削を行いますが、その際、切り屑がずっと繋がった状態だと、せっかくのワークを傷つけたり、絡まってしまうという不具合が発生していまいます。
これを回避するために、当社では刃物を低周波振動させることで切り屑を分断させる「LFV技術」を搭載した最新機種を多数導入し、安定生産を実現しています。
4. 最新の刃物を使った加工
刃物メーカー・工作機械メーカーはニーズに合わせて常に最新工具を開発しているため、高精度かつ安定した加工を極めるには、そうした情報を早期に入手・検証し使いこなすことが重要と我々は考えています。
当社はメーカーとの繋がりが強く、機械はもちろん工具においても最新情報を入手できる関係を構築してているので、他社に先駆けて最新工具による加工方法を取り入れることが可能です。
例えば、特殊な刃物を用いることで、本来であれば別工程となるG(研磨)指示を、NC自動旋盤の工程内に取り込み工程集約することで、さらに安定した精度でご提供できるようにしています。
5. 適切な材料選定
高精度かつ安定した加工を実現するためには、適切な材料選定を行うことも重要です。
例えばコストを重視して安価な引抜材を採用すると、どうしても加工ばらつきが生じてしまいます。
当社ではご要求精度・ロット数量・コストなどを総合的に勘案し、慎重に吟味した上で材料選定を行っています。
もちろん安定した品質で自動旋盤加工品をご提供し続けるには、万全の品質管理体制が重要なのは言うまでもありませんが、今回は加工工程における当社の取り組みをご紹介させて頂きました。
シャフトやピンなど、NC自動旋盤による切削加工でお困りの際はお気軽にご連絡ください。